Vol.212 『五蘊』とは、、、 「五蘊盛苦」、「五蘊皆空」など

[その他仏教関連]

五蘊(ごうん)』——あるいは『五陰(ごおん・ごいん)』ともーーは仏教の言葉で、人間を形作っているとされる色・受・想・行・識という次の五つの構成要素(『』)のことです。


  (1)物質的な構成要素

      (しき) : 体・肉体

  (2)精神的な、心の働きに係わる構成要素 

      (じゅ) : ものごとを感じる要素、感知力・感受性
      (そう) : ものごとを思い、イメージする要素、想像力
      (ぎょう) :  感じ、思ったことを行動に移す要素、
              衝動・意思力
      (しき) : ものごとを識別し判断する要素、認識力

この『五蘊』という単語が登場する仏教の言葉二つを、以下に記させて頂きます。


先ずは『五蘊盛苦(ごうんじょうく)』、これは、「四苦八苦(しくはっく)」のなかの八番目の「苦しみ」です。

「四苦」は、『生(しょう)』、『老(ろう)』、『病(びょう)』、『死(し)』という、人間にとって最も根源的な四つの「苦しみ」を指しますが、それに次の四つの「苦しみ」を加えたものが、「八苦」です。

   『愛別離苦(あいべつりく)』
   『怨憎会苦(おんぞうえく)』
   『求不得苦(ぐふとくく)』
   『五蘊盛苦(ごうんじょうく)』

この辺り、やや詳しくは、 Vol.6 “この世は「修行」” をご参照頂きたいと思いますが、
うち『五蘊盛苦』は、体と心、肉体と精神が乱れコントロール出来ない苦しみ、いわば自我が強過ぎる苦しみと言えます。


では如何にして『五蘊』を鎮めるか、その答えの一つが「般若心経」の冒頭部分にある『五蘊皆空(ごうんかいくう)』という考え方です。


以下はその部分の私なりの意訳的な抄訳です。


  [観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空(しょうけんごうん
   かいくう) 度一切苦厄  舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 
   空即是色 受想行識亦復如是(じゅそうぎょうしきやくぶにょぜ)]


“観音菩薩さまは奥深い修行を通じ、”人間を構成する五つの要素(『五蘊』)には、いずれも固有の本質・実体は無く、全て変化し移ろい行くもの、即ち「空(くう)」である“ という悟りを得られ、それによってあらゆる苦しみや厄災から解放されました。

弟子のシャーリプトラよ、五蘊の一つである肉体(『』)には実体は無く、「空」であり、『』と「空」は何ら異なるものではないのです。
』は「空」であり、「空」は『』なのです。

残る四つの『』———受・想・行・識——もまたしかりで、全て実体がなく「空」なのです“


さて、上記『五蘊盛苦』も『五蘊皆空』も、仏教の創始者お釈迦様の「語録集」とされるダンマパダ(法句経)の教えに依拠するものと言えます。

「四法印(しほういん)」と呼ばれるその教えとは次の四つであり、仏教の最も根本的な考え方です。


      諸行無常 (しょぎょうむじょう)
      諸法非我 (しょほうひが)
      一切皆苦 (いっさいかいく)
      涅槃寂静 (ねはんじゃくじょう)


    (「四法印」についてやや詳しくは、

       Vol.197 “四法印のこと ——『四諦・八正道』と共に” 

     をご参照頂きたいと思います)

五蘊』もまた無常、非我であり、皆苦であること、明らかです。


自分の体や心の働きに、過度に反応したり執着したりすることなく、ひたすら無心に生きること、それが静かで穏やかな毎日をもたらす鍵と信じています。

  

                            (完)

2021年04月14日

≪ Vol.211 年の初めに思うこと                     —ーー”「自然」と「人間」との関係” について                         | TOP PAGE