Vol.164 戦後70年の年頭に思うこと                     ———“Voices for peace and progress” を!

[その他政治・社会分野]

戦後70年という大きな節目の年が明けました。


この年は、、、、全くの私事ですが、亡父篠田昌忠がフィリピンで戦病死後70年の年でもあり、感慨ひとしおです。

 


      (因みに亡父は、第29回新田次郎文学賞受賞の名著『恋の蛍
       山崎富栄と太宰治』(松本侑子著)の文庫本中、マニラの
       場面で数ページに亘り実名で登場しています。

       これは、太宰と心中をした戦争未亡人山崎富栄さんの亡夫
       奥名修一さんが、戦前の三井物産マニラ支店で私の亡父と机を
       並べ、しかも共に現地で戦没という奇遇によるものですが、
       その間の経緯等につきましては、

       Vol.127 “『恋の蛍 山崎富栄と太宰治』文庫本発行!”
   
       に記させて頂いた通りです)


この年はまた、わが国が、昨年7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定に基づき、「戦争をする普通の国」に向けての法整備に着手する、正に死活的に重要な年でもあります。


私は、上記閣議決定の直後に、靖国に眠る亡父や奥名修一さんにも思いを馳せつつ、

Vol.156“靖国の英霊は泣いている!  天皇のご心中は、、、、” 

と題する憤りの所感を記したところですが、以下はそこからの抜粋です。


      ——————————————————————


  ーー 今回の閣議決定を最も深く悲しんでいるのは間違いなく靖国の英霊
    であると思っています。
    英霊の、怒りを含んだ激しい慟哭が耳元で大きく響きます。
    『自分達の死を無駄にするのか、、、、、』と。
               

  ーー 今回の決定に深く深く心を悩ませておられる方が少なくとももう
    お一人おられます。 天皇陛下です。
               

  ーー 天皇は、政治的発言は一切控えるとのお立場の下、先月は対馬丸
    関係者等慰霊のため沖縄訪問、戦後70年の節目となる来年には、
    パラオなど太平洋諸島への慰霊訪問予定と、ご高齢をものともせず
    「無言の意思表示行動」をひたすら続けておられます。

    そうしたなか、昨年末の安倍首相の突然の靖国参拝、、、、、それに
    続く今回の閣議決定、、、、、天皇のご心中はいかばかりかと
    ただただ忖度申し上げる次第です。
   
        ————————————————————

さて、上記「天皇のご心中」に関してですが、私はその一端を、今年の「年頭のご感想」から窺い知ることが出来るのではと思っています。


天皇陛下は毎年、『新年に当たり』と題する書面を公にされてきていますが、戦後70年の今年の「ご感想」は、例年以上に強く胸に響くものがあり、なかでも私は次の一文をひときわ重く受け止めた次第です。
  

   “この機会に,満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び,今後の
    日本のあり方を考えていくことが,今,極めて大切なことだと思って
    います。”
     

上記文中の『この戦争の歴史』の前に、敢えて『満州事変に始まる』という説明がつけられているところに私は何とも深いメッセージを感じ取るものです。 
      


今年8月15日に予定されている「安倍談話」に関し、『未来志向』という言葉がしきりに飛び交っていますが、『植民地支配と侵略の過去』に真正面から真摯に向き合った上での『未来志向』でなければ、それは『ひとりよがりの未来志向』に陥ること必定で、各国の反発を買うこと明白と考えています。

天皇の上記「ご感想」を、安倍首相はじめ国民全員が拳拳服膺すべきと考えます。

(尚、『ご感想』全文は、宮内庁サイトのこちらでご覧になれます)


ところで本稿標題の “Voices for peace and progress” は、オバマ大統領の2009年4月の「プラハ演説」から引いたものです。

この演説は、「核兵器なき世界(a world without nuclear weapons)」を訴えた歴史に残る名演説で、以前にもこの場で触れさせて頂いておりますが(2009年8月 Vol.83 “総選挙公示日に思う” 及び 2009年10月 Vol.86 “オバマ大統領へのノーベル賞授与に思う”)、

私は特に次の一節に強く心を打たれます。


   “『武器を取って立ち上がろう!』という呼びかけは、
   『武器を手放そう!』という呼びかけよりもはるかに強く
    人の魂をゆさぶるものです。

    しかし、だからこそ私達は、平和と進歩を求める声
   (Voices for peace and progress)をみんなであげ続けなければ
    ならないのです。”

     (”I know that a call to arms can stir the souls of men
      and women more than a call to lay them down.

      But that is why the voices for peace and progress
      must be raised together.")


(もっとも、その後のオバマ大統領には失望せざるを得ず、ノーベル平和賞が泣いていると言えますが)

戦後70年の節目の年、そして「戦争をする普通の国」へのいわば分水嶺の年、その年頭にあたり、私は上記オバマ演説に倣い次のように強く訴えたいと思います。


  “『中・韓から、領土領海を断固守ろう!』という呼びかけは、
   『中・韓との共栄を考えよう!』という呼びかけよりも
    はるかに 強く人の魂をゆさぶるものです。

    しかし、だからこそ私達は ”Voices for peace and progress” を
    みんなであげ続けなければならないのです。”

                            (完)

2015年01月06日

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