Vol.163 『民主的』に『近代強権国家』に逆戻り!                          ———総選挙結果に思う

[その他政治・社会分野]

大義なき師走の党利党略解散。


与党圧勝という選挙結果により、

  “わが国は『民主的』に『近代強権国家』に逆戻りしつつある”

という現実がいわば再確認されたと感じています。

『民主的』と『強権』とは、もとより相容れぬものであり、従って『民主的に強権国家に』というのは支離滅裂的表現と言えますが、
実は、わが国そのものが、経済政策や外交安保政策も含め、時代錯誤・支離滅裂状態に近いと私は捉えています。


確かに今回の結果には、与党批判のまっとうな受け皿がなかったこと・低投票率・民意と議席数とが必ずしも一致しない現行選挙制度、といった要因に帰せられる部分があることは間違いないところです。


しかし一方、今回は公示直後から一貫して「与党圧勝」という結果が予見されており、大方の有権者はそのことを十分踏まえ、自覚しながら投票行動に出たと見られるだけに、

  “これが民意。
  「安倍政治」は総体としては、国民から相当程度支持されている”

と見なさざるを得ないと思っています。

多くの国民の意識の根底には、特に最近の『プレ近代国家』中国の乱暴な言動を見るにつけ、『近代強権国家』へのある種漠然とした郷愁と期待とが強まりつつあり、それが安倍首相の『戦後レジームからの脱却!』、『日本を取り戻す!』という情緒的な呼びかけと共振をしている、というのが実態を考えています。

ヒットラー時代との類似性がふと脳裏をよぎり、戦慄を覚えます。


来年は戦後70年。


広島・長崎を筆頭とする悲惨な「被害」を改めて想起し、恒久平和を固く誓う年にしたいものですが、同時に、「被害」より何倍も大きい「加害」の全貌にも今一度謙虚に思いを巡らせ、的確に対応すべきと考えます。

人は、「被害」の傷跡はなかなか消し去ることが出来ないのに対し、「加害」の方は、ついつい正当化し目を背けがちです。
しかし、被害を受けた相手の方は、それを決して忘れていないことを十分銘記する必要があると思っています。

来年に予定されている「安倍談話」が、『近代強権国家』的なものではなく、『ポスト近代国家』としてのわが国の長期的ビジョンとポリシーを世界に示すものになることを強く願うものです。


    (上記『プレ近代国家』、『ポスト近代国家』につきましては、
     丁度1年前に記しました、

     Vol.149 “「今年の漢字は『国』!
      ——第2次安倍内閣のこと、「ポスト近代国家」のこと、など“
 を

     ご参照頂きたいと思います。

     そこでは、イギリスの現役外交官ロバート・クーパー氏が提唱する
     プレ近代・近代・ポスト近代という国家の三分類を概説しています。

     
     因みに私は、1年前のそのエントリーの結びとして、

     “来年は自民党内リベラル勢力が、公明党を触媒として覚醒し、
      蹶起することを強く期待するものです。“

     と記したところですが、残念ながらその期待は完全に裏切られ
     ました。


     しかし、総選挙後の野党は相変わらずのていたらくであり、
     来年もまた自民党リベラル勢力に再度の期待をするものです)

                             (完)

2014年12月17日

≪ Vol.162 「ふたつよいことさてないものよ」                   ———河合隼雄先生の言葉と幸田露伴の「惜福」 | TOP PAGE | Vol.164 戦後70年の年頭に思うこと                     ———“Voices for peace and progress” を! ≫