Vol.159 集団的自衛権行使容認問題に思う(その7)      ———閣議決定撤回を求める「国民安保法制懇」の報告書ご紹介

[その他政治・社会分野]

「国民安保法制懇」は、去る5月15日の例の「安保法制懇」の報告書公表、それを受けての安倍首相の集団的自衛権行使容認の方向性表明、に強い危機感を抱かれた次の方々が、5月28日に緊急設立をされた組織です。


     愛敬 浩二(名古屋大学教授・憲法)
     青井 未帆(学習院大学教授・憲法)
     伊勢崎賢治(東京外国語大学教授・平和構築、紛争予防)
     伊藤  真(法学館憲法研究所所長、弁護士)
     大森 政輔(元内閣法制局長官)
     小林  節(慶応大学名誉教授・憲法)
     長谷部恭男(早稲田大学教授・憲法)
     樋口 陽一(東京大学名誉教授・憲法)
     孫崎  享(元外務省国際情報局長)
     最上 敏樹(早稲田大学教授・国際法)
     柳澤 協二(元内閣官房副長官補)


(もともとの「安保法制懇」につきましては、Vol.152 “集団的自衛権行使容認問題に思う(その1)  ———「安保法制懇」という『有識者会議』に関して“ をご参照頂きたいと思います)


その「国民安保法制懇」は、臨時国会開会日の去る9月29日、『集団的自衛権行使を容認する閣議決定の撤回を求める』と題する報告書を発表し、同日安倍内閣宛に提出済みとのことです。


報告書は、【閣議決定による憲法解釈変更】に関する問題点、及び【閣議決定の内容】上の問題点を挙げると共に、【積極的平和主義】や【アメリカとの同盟関係の強化】ついても問題点等を指摘し、むすびとして次のように述べています。


    “以上で述べたように、安倍政権による集団的自衛権行使容認への動きは、実効的な歯止めを伴っているかも疑わしく、無制限に日本の軍事行動を拡大することによって、日本国民の安全保障をきわめて不安定な状態へと導きかねない。それは現憲法の根底にある立憲主義と平和主義の否定であるのみならず、中長期にわたって日本の国益を大きく損なう。

    以上検討したところによれば、所定の明白な危険があることを集団的自衛権行使の要件として付加しても、集団的自衛権の行使は憲法9条の下では許容されないから、本件閣議決定中、集団的自衛権行使容認の部分は、撤回されるべきである。

    安倍政権は、今後、日米防衛協力の指針(いわゆるガイドライン)への反映や自衛隊法等の関連法令の整備を、可能な限り世間の耳目をそばだてないよう、しかし可能な限り迅速に進めようとするであろう。立憲主義を無視し、特殊なイデオロギーで国のあり方を根本的に変容させようとするこの策動への注視を怠らず、反対の声を今後とも広げていく必要がある。“


報告書は、A4 8ページにコンパクトにまとめられており、PDF版はこちらからご覧になれますので、是非ご一読をお奨めする次第です。


今回の報告書は、先日の日弁連の精緻な「意見書」(Vol.158 “集団的自衛権行使容認問題に思う(その6) ———日弁連、首相・官房長官・衆参両院議長宛に「意見書」提出!” ご参照)に続くものですが、私はその両方に、『わが国の良心』を見る思いです。

それに引き替え、9月29日の安倍首相の所信表明演説中には、「集団的自衛権」という言葉は一切無く、これ正に『良心の欠如』と思わずにはいられません。


安倍首相には、今国会中のあらゆる場を通じ、上記二つの極めて重要な声明に対し丁寧で論理的な説明と対応をされるよう強く求めたいと思います。

間違っても『見解の相違』と切って捨てる愚だけは二度と犯されぬことを願いつつ。

                            (完)

2014年10月02日

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