Vol.148 リニア新幹線は本当に必要か?                        ーーーゼロベースで広く国民的議論を!

[その他政治・社会分野]

リニア新幹線の事業主体であるJR東海は去る9月18日、“中央新幹線(東京都・名古屋市間)環境影響評価準備書” を公表致しました。

同書は同日、関係する7都県知事及び39市区町村長に送付され、既に、公告及び縦覧、説明会の開催、意見募集(11月5日まで)等の手続きが始まっています。

詳しいルートや途中駅なども明らかになり、明年度着工・2027年度完成に向け、いよいよ具体的に動き出した訳ですが、私はかねがね、

   “このリニアは本当に必要なのか? 作る意味が本当にあるのか?”

強い疑念を抱いています。


今回の準備書公表を機に、単に環境保全の見地からのみで無く、全ゆる角度から国民的レベルで事業の抜本的再検証がなされることを強く求めたいと思います。

     (同社発表の、「環境影響評価準備書のあらまし」(11ページ)は
      こちらです)


さて、この新幹線の目玉は、時速505キロメートルという最高設計速度にあります。

これにより、品川—名古屋間 40分!

わが国科学技術の粋を集めた世界に冠たる最高傑作であることは間違いありません。


しかし一方、消費電力は在来新幹線の3〜5倍、また全長286キロメートルのなんと86%がトンネルということもあって、キロ当り建設費も在来新幹線の4〜5倍と見込まれています。


つまりこのリニア新幹線は、現在100分の「東京—名古屋間」を、電力とお金を湯水の如く使うことによって、「品川—名古屋間 40分」に短縮するものと言えます。

特に消費電力の多さは桁外れであり、リニア稼働には浜岡原発の再稼働が不可欠と言われている所以です。


はたしてそう迄して、「品川—名古屋間 40分」を実現する必要が本当にあるのか???
この新幹線は、私たちに真の豊かさをもたらすのか???


名古屋郊外出身の私ですが、肯定的な答えがなかなか見出せません。

(起点が品川であること、また終点の名古屋も、品川同様の大深度地下駅であり乗り換えに時間がかかることも現実的デメリットです)


私は、東日本大震災の約1ヶ月後、“東日本大震災に思う(その2)”として、Vol.107 “「脱原発」を決断し、「電力多消費文明」との訣別を!” と題する思いを記させて頂きましたが、
このリニア新幹線は正に『電力多消費文明』の象徴的な代物と言えます。


従ってそれは、私に言わせれば、『ポスト3・11』の今の時代には、もはや『時代遅れ』の醜い乗り物ということになります。


ここは、いったん立ち止まって、ゼロベースで抜本的に見直すべきと考えるものです。


(尚、『時代遅れ』という点では、安倍首相の政治そのものが『時代遅れ』あるいは『時代に逆行』と私は捉えています。

その安倍首相の盟友の一人が、リニアの旗を振り続けるJR東海の葛西会長であり、彼は首相の私的諮問機関である例の「安保法制懇」のメンバー。

失礼乍らお二人からは『先見性・開明性』がなかなか感じ取れません)


ところで、上記Vol.107中にも記しましたように、近代に入ってからの科学技術の進歩は実に目を見張るものがあります。

そして、それによって可能になったこと・ものは、誰はばかること無く自動的に実用化・商品化されてきています。


しかし私は、そろそろこの辺りで、

    “科学技術の進歩により可能になったこと・ものであっても、
    その実用化・商品化の可否は、広義の倫理基準に照らし別途個別に
    審査する“

というルールを国際的にも確立する必要があると考えています。


このリニアについても、そういう観点も踏まえ、未だ一度も開かれていない国会での集中審議を含め、広く国民的議論がなされることを大いに期待するものです。


     (尚、科学技術に関しましては、大震災後3ヶ月目に記しました、

         Vol.110 “「科学技術」と「歴史の進歩」について“

      も併せご覧頂ければと思います)

                             (完)

2013年10月02日

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