Vol.131「福島原発4号機燃料プール問題」の緊急性・重大性に関して      ーーー旧友齊藤紀夫氏からのメールを基に・・・

[その他政治・社会分野]

福島原発事故から既に一年半。

いまだ十数万人の方々が、先行きの展望も全く開けぬまま県内外で避難生活を余儀なくされており、暗澹たる思いに囚われます。


さて、その福島第一原発の4号機燃料プールの破局的状況に関し、旧友齊藤紀夫氏から専門的な詳しいメールを頂きましたので、その内容をかいつまんで以下に記させて頂きます。


本件は大手メディアでは殆んど報道されていませんが、端的には、現地がもし震度6強を超える地震に再び見舞われたら、人類史上類を見ない大惨事になるというもので、この点、政府・東電の認識は極めて甘く、国を挙げての一刻も早い対応が求められるという内容です。

氏からのメールは、これ迄2度この場で紹介させて頂きましたが(下記ご参照)、氏は原発問題に関し、元スイス大使村田光平さんをサポートする会のメンバーとして活動をされており、今回のメールもその活動を通しての情報に基づくものです。


      (Vol.117 “東日本大震災に思う(その7)
        ———原発問題に関する旧友からの「怒りのメール」ご紹介“

                       2011年11月15日

       Vol.129 “「さようなら原発10万人集会」
        ———これに参加した旧友からのメール2通ご紹介“

                       2012年7月17日)


ところで政府は去る9月14日、『2030年代に原発ゼロ』を目指すとするエネルギー戦略を決定しましたが、以下はそのことについての、今回のメール中の氏のコメントです。

私もほぼ同様な思いです。


     “このほど政府が、明らかに選挙目当てとはいえ、2030年代を
     目標に原発ゼロを掲げざるを得なかったことは、我々も参加して
     きた毎週金曜日の官邸前デモやパブリックコメントなどでの声を
     無視出来なくなったことの証左といえるでしょう。 

     しかしながら今回の政府決定は、核燃料サイクル事業の継続など
     多くの矛盾を含む、正に場当たり的な内容であり、一方では
     我が国のおかれている以下のような実情(*)を改めて国内外で
     顕在化させております。 

     従って、我々としては、ドイツの脱原発が40年以上に亘った国民
     運動の成果であったことも念頭に置きながら、引き続き ‘デモ等
     の具体的行動’ を粘り強く継続していくことが必要不可欠と
     改めて思っているところです。

      (*)国内  -経団連を筆頭に経済界の強い反発、自民党も反対。 
            福井県・青森県の知事も約束違反などを理由に
            強く不満を表明。

        国外 -「日米原子力同盟」の関連...核拡散防止の観点から
            も日本が必要、

            いまや東芝・日立の原発技術無くして米国の原子力
            産業はなり立たない現実(スリーマイル島事故を
            契機に米国には企画などは出来ても原発を建設
            出来る企業が存在しない)。

            日本の使用済み核燃料の再処理を請け負っている
            英国・フランスの困惑(契約問題)等      ”


さてここからが本題の「福島原発4号機燃料プール問題」ですが、背筋が寒くなるこの喫緊の重大問題の概要を、齊藤氏のメールを基に以下箇条書きで記させて頂きます。


            ——————————————


(1) 現在、福島第一原発に残されている燃料集合体の総数は14,225本。

村田光平さんが米国の核科学者で使用済み燃料に関する第一人者ロバート・アルバレス氏に照会したところ、これはチェルノブイリの約85倍のセシウム137。


(2) うち、建家が水素爆発によって損傷を受け、しかも地盤に不等沈下があり
    倒壊する危険のある4号機の燃料プールには1,533本ある。
   (うち202本は未使用の新燃料)

これはチェルノブイリの約10倍のセシウム137。

加えて、4号機から50メートルの所に共用使用済み燃料プールがあり、そこに6,375本ある。


(3) この4号機燃料プール問題については、米国の原子力技術者アーニー・
    ガンダーセン博士が、既に昨年6月次のように警告。

『4号機から目を離さないこと。4号機が倒れたら、政府が何を言おうと信じてはいけません。それはもう科学が想像すらしたことのない領域なのです。飛行機に乗って東京を出る時です。』


(4) 村田さんは、本年3月22日の参議院予算委員会公聴会で公述。

そのなかで4号機の状況について、『もし燃料プールが崩壊し、燃料棒が燃え出したら、果てしない放射能が放出され、世界の究極の破局の始まりと言える。一刻も早い燃料棒取り出しに向け最大限の対応が必要』と強くアピール。


(5) そうした背景の下、去る8月31日衆議院第一議員会館において、
   「福島原発4号機の核燃料問題を考える議員と市民の院内集会」開会。

来日中の上述ガンダーセン博士が、『福島4号機のプール内燃料はいかに危険か』と題し講演、その後特別スピーカーとして村田さんがコメント、

第2部ではエネ庁・東電実務責任者の説明と、厳しい質疑応答が展開。


ガンダーセン博士の発言要旨は次の通り。

 ———地震で4号機の燃料プールの水が抜けると、燃料棒が燃え始めることは
    米国での実験で確認している。
 ———火がついた時の破壊力は核兵器程度ではすまされない。
     1、2、3、5、6各号機も管理不能となり、核の暴走事故が発生する。
 ———この消火には、水素爆発の危険があるため水は使えず特別な科学物資が
     必要(米国で開発済み)
 ———東電の計画では、燃料棒取り出しは来年12月からとなっているが、
     これではいかにも遅過ぎる。一刻も早く冷えたものから順に取り出すべき。

これに対し東電は、燃料プールは補強され震度6強に耐えられる筈とする一方、
燃料棒が大気中で燃え始める可能性は想定しおらず、対策も取られていないことが判明、会場は騒然。


     (8月31日の院内集会におけるガンダーセン博士の講演ーー
      約70分、通訳つきーーと、村田さんのコメントーー約10分——
      は、以下のyoutube をご覧下さい。

          http://www.youtube.com/watch?v=RCCTctlJegQ   )


(6) 上記を踏まえ村田さんは、本件を含む緊急申し入れ書をこのほど野田総理
   あてに提出。


         —————————————

前述しましたように、この4号機問題は国内大手メディアでは殆んど報道されていませんが(但し、北海道新聞では大西隆雄編集委員が、コラム「異聞風聞」で5月13日と9月16日の2回的確に解説)、
海外では今や『世界の安全保障問題』として重大関心事になりつつあるようです。


世界の信頼をこれ以上失うことが絶対無きよう、最悪の事態に備え国を挙げての緊急・抜本対応を強く求めるものです。
                      (完)

2012年09月19日

≪ Vol.130 『霊魂』のこと、『霊格』のことなど(その3)               ーーー『遺伝子』と『霊魂』 | TOP PAGE | Vol.132 『恋の蛍 山崎富栄と太宰治』文庫本発行!(続)            ——大沼芳徳さんのエッセイ「林住期の贈り物」ご紹介 ≫