”脱「金融依存資本主義」” もまた急務!                               ーー佐藤尊徳客員研究員

[佐藤尊徳]

筆者は、このままでは今年末に再び金融危機が起こると予想している。


これは、最近の欧州事情などを見て急遽そのような予想を始めたへっぽこアナリストと違い、2年ほど前から主張し続けてきたことである。
長年経済誌の編集に携わってきた者としてのいわば動物的な勘であって、確たる情報があるわけでもない。
外れたら逆にラッキーだと思って頂きたい。


ただ、筆者は前回の金融危機時も、必ずバブルが崩壊すると警告をしていたことは申し上げておきたい。


ご承知の様に今年は世界の各地で選挙が行われる。

ロシアではプーチンが憲法を改正してまで大統領に返り咲いた。
欧州の火薬庫になってしまったギリシャ、フランスとEUで重要な選挙が続いていく。
中国では権力の移譲が行われ、11月のアメリカ大統領選挙がメインイベントだ。 

日本はこのままいけば、国政選挙は行われないが、いつ衆議院が解散してもおかしくない状況だ。


このような時にはどの国でも内向的になりやすい。

ポピュリズムは日本に限った話ではない。
共産主義国家の中国でさえも、大衆におもねらなければ体制を維持できなくなってきている。


リーマンショックにより、急激な金融の逆回転が起きた。
それは当然のことである。

実需もないのにレバレッジを掛け、バブルを生み、目先の富を確保する、そんなことが永続するわけはないからだ。


詳細は省くが、当時アメリカ当局はリーマンブラザースが倒産しても、金融システムの崩壊には至らないと思った節がある。
それが、思惑とは違い、AIGの株が暴落し、他の大手金機関に派生しそうになり慌てて中央銀行に借金の付け替えをはかった。

その後、FRBやECB、日本銀行などの中央銀行は金融緩和合戦で、バランスシートを膨らまし続けたのだ。
痛んだ金融機関の自己資本を積み増そうと、公的資金を注入して、金融危機は収まったように思われている。

しかし、将来へのつけ回しをしただけで本質的な状況は全く変わっていない。


ギリシャの債務免除で、欧州の財政問題は一旦下火になったように思われた。

しかし、ギリシャ国民がそれを感謝し、目の色を変えて制度改革に勤しみ、勤労しているとは聞こえてこない。
逆に緊縮財政推進派の与党が総選挙で負けて、財政再建の行方は混沌だ。


フランス国民もドイツ国民も、他国の支援よりも自国の富を考えるのは当然のことである。

フランスでは現役のサルコジが負け、17年ぶりの社会党政権が誕生した。これは意外なことではなく、必然なのだ。
(誤解なきように言っておくが、サルコジが間違っていて、オランドが正しいと思っているわけではない)
  

人間は富を求め続け、物質的豊かさの向上に血眼をあげる。


為政者たちは、有権者に目先の裕福さを提供し続けることが政権維持の条件だと勘違いし、安易な金融資本主義により、利益を極大化してバラマキを繰り返す。


そして、また、金融危機、、、、、、、。

世の中の価値基準を抜本的に変えなければいけないことがいよいよ明白になってきた。 


「脱原発依存」が耳目を集めているが、人間が真の豊かさを取り戻すためには、金融に寄りかかり過ぎた資本主義ーー「金融依存資本主義」ーーからの脱却もまた急務であろう。

                   佐藤尊徳 〈(株)経済界常務取締役〉


2012年05月17日

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