Vol.121 日本仏教界、【3・11】を契機に覚醒!                    ーーー東日本大震災に思う(その9)

[その他仏教関連]

私は、去る2009年の年頭、“年の初めに日本仏教界の覚醒を願う!” と題するやや長文の思いを記させて頂きました。


その要旨は;

いよいよ終章に入った「西洋近代文明」、「一神教文明」、、、、、その次を担うべきは、“「仏教」なかんずく「八百万の神々」と混淆した『日本仏教』” であると思うものの、かんじんの日本仏教界は明治維新以降今日に到る迄、四囲の情勢により殆ど休眠状態にある故、その早期覚醒を願う!

というものでした。


     (尚、『日本仏教』に関する私なりの理解は、Vol.25
       “神も仏も、山も川も・・・今こそ【日本仏教】の再評価を”
       を、ご参照頂きたいと思います)

爾来満3年、私は今、“日本仏教界は【3・11】を契機に覚醒した!” と強く感じています。


以下に、私がそう感じる象徴的な出来事を三つ、新しい順に記させて頂きます。


(1)天台宗・真言宗、両トップが何と1,200年ぶりに対話。


   ——天台宗開祖最澄(伝教大師)と真言宗開祖空海(弘法大師)は、最後
    西暦812年に会った後、絶交状態となり、以降両宗トップ間の
    対話は全くありませんでした。


  ——しかし昨年12月25日、天台宗半田孝淳座主と高野山真言宗総本山
    金剛峯寺松長有慶座主とが対面され、大震災後の日本人はどうある
    べきか、自然や環境とどう向き合うべきか等について、長時間
    話し合われました。

   ——対談のまとめは、1月8日の読売新聞に掲載されていますが、
    “今こそ平安仏教の「自然と一緒に生きる(共生)」という考え方を
    生かす時代“ との共通認識が確認され、『宗教界が震災後の日本人の
    生き方の支柱にならないといけないし、それがこれからの世界を
    動かすことになると思うのです』という松長座主の言葉で締めくく
    られています。

  ——1,000年に一度の大震災、それに伴う原発事故が、1,200年
    ぶりの両宗トップの対話をもたらした訳で、何とも言えぬ感慨を
    覚えます。


(2)「全日本仏教会(「全仏」)」は、昨年12月1日、
   画期的な宣言文『原子力発電によらない生き方を求めて』を発表。


   ——これに関しましては、Vol.119“東日本大震災に思う(その8)”
    記させて頂いた通りですが、正直なところ私は、
    「全仏」のこれまでの活動状況等から考え、原発のように国論が
    分かれる社会問題に対し、日本仏教界が連合体として統一見解・
    方向性を打ち出せるとは思ってもいませんでした。

    ここでも今回の大災害の衝撃の大きさを痛感致します。

   ——仏教界の取りまとめにあたっては、「全仏」会長、臨済宗妙心寺派
    河野太通管長が並々ならぬリーダーシップを発揮されたものと理解
    していますが、
    臨済宗妙心寺派単独では、既に昨年9月、『原子力発電に依存しない
    社会の実現』と題する以下のような宣言文を発表しています。

    仏教徒としての強い決意がうかがえます。
    
      “今年3月11日に発生した東日本大震災に伴う原子力発電事故は、
      世界中の人々の人生観に大きな衝撃を与えました。
    
      半年を過ぎた今日においても、未だ終わりが見えない状況で
      多くの人々の生命(いのち)や人権が脅かされ、苦悩の日々を
      余儀なくされています。

      たとえ平和利用とはいえ、原子力による発電が人類の制御
      できない危険な領域であると露呈した今、私たちは将来ある
      子供たちのために一刻も早く原発依存から脱却し、これに代わる
      安全なエネルギーへの転換に向け社会に働きかけなければ
      なりません。

      この度の様々な出来事は、すべての人々に心の豊かさ、安心
      できる平和な生活とは何かを改めて問い直すよう促しています。

      私たち仏教徒は、利便性や経済性のみを追求せず、仏教で説く
      「知足(足るを知る)」を実践し、持続可能な共生社会を作る
      ために努力することをここに決意し、宣言します。

                  2011(平成23)年9月29日

                     第121次定期宗議会
                     臨済宗妙心寺派教団
                     臨済宗妙心寺派宗議会    

  ——「全仏」会長(任期2年)は、本年4月から前記天台宗半田座主が
    勤められます。
    新たなる視点での、半田(新)会長のリーダーシップにも大いに
    期待をするものです。


(3)大震災物故者に対し、鶴岡八幡宮東大寺(華厳宗大本山)が、
   盛大な合同慰霊祭事・法要を執行。


   ——昨年6月12日に鎌倉の鶴岡八幡宮で、9月18日には奈良の
    東大寺大仏殿で、いずれも盛大に執行され、被災地復興への合同の
    祈りも捧げられました。

   ——神社とお寺が合同で大がかりな催しを行うことは、明治維新の
    神仏分離令以降、殆ど無かったものと思われ、これまた極めて画期的
    な出来事です。
    神仏混淆の『日本仏教』の神髄を見る思いです。

上記から明らかな如く、“日本仏教界は間違いなく大きく動き始めた” と言えますが、この三例が示しますように、奈良仏教(華厳宗)、平安仏教(天台宗・真言宗)、鎌倉仏教(臨済宗)のいずれでも動きが見られること、誠に心強い限りです。


私は、「宗教との関わり」という観点で、長い日本の歴史を4期に分けて捉えていますが、いよいよその第5期 “豊かで便利でかつ宗教心溢れる時代” が始まるような予感がしています。

「西洋近代文明」、「一神教文明」を止揚した「新しい文明」の創造に向け、日本仏教界が今年更に一歩前進することを心から願っています。


     (尚、上記私流の「日本歴史の4区分」に関しましては、
      Vol.29 “『宗教心溢れる時代』に向けて” をご参照
      頂きたいと思います)

                              (完)
    

2012年02月05日

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