Vol.99 民主党政権初の死刑執行に思う、、、、一死刑廃止論者より

[死刑制度関連]

先週の水曜日7月28日、二人の死刑囚が処刑されました。

処刑は民主党政権で初めて、しかも昨年7月28日以来ほぼ一年ぶりのこともあって世界的にも大きなニュースになり、死刑に反対する人々からは、『千葉法相に裏切られた!』、『法相は信念を曲げた!』などと強い非難・抗議の声があがっています。

 
    (処刑当日に発表された、主要な非難・抗議声明の全文は
      下記をクリック下さい)

      —アムネスティ・インターナショナル「国際ニュース」の
       中の『非難声明』

      —日本弁護士連合会の『死刑執行に関する会長声明』

      —私刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90の
       『抗議声明』(当該死刑囚二人のアンケート回答含む)

        (因みに私も本フォーラムの賛同人の一人です)


さて以下は、上記の声とはやや趣を異にする私の率直な思い三点です。


(1) 法相の参院選落選は痛恨の極み!

  ——この問題を巡るご自身の「信念」と、大臣としての「職責」の
    挾間で苦悶されてきたであろう法相にとって、今回の落選は、
    自らの政治信条を否定された感じであり、そのショックは
    計り知れないものと推察しています。

  ——私刑廃止関係組織・ネットワーク等が、『千葉さんを落とすな!』
     という大きなうねりを起こせなかったこと誠に残念至極であり、
    三年前まで神奈川県民であった私自身も本当に忸怩たる思いです。

        (千葉法相に対する私の思いは、昨年9月の鳩山内閣
         発足時に記しました、“千葉景子法務大臣に期待、
         先ずは「終身刑」の創設を!”
をご参照頂ければと
         思います)

  ——尚、例えば上記アムネスティの声明文中に、『これまで死刑執行
    に反対する姿勢を表明していた千葉法相は、、、』とあるように、
    法相は、“在任中は執行命令を出さない方針であった”と、
    一部で受け止められていますが、法相就任時発言(上記私の
    思いの中に記載)にある通り、『職責を踏まえ慎重に考える』
    というのが一貫した姿勢であり、今回の決断はその姿勢と矛盾
    するものではないと私は捉えています。

         (因みに私は、死刑廃止論者ではあるものの、
          現行法下では執行はやむを得ないとの立場をとって
          います。
          この点詳しくは、2005年11月の“杉浦法相の
           就任会見時発言に思う“ 
をご参照頂ければと
           思います)
      

(2)「7月28日執行」で法務官僚は安堵!

  ——前述の如く、わが国では昨年7月28日以来、死刑の執行が
    なされていませんでしたが、これに関しアムネスティ・インター
    ナショナル日本 私刑廃止ネットワークセンターのサイト
上では
    毎日、「死刑が執行されなくなって○○○日」との表示がアップ
    されていました。
    そして、7月27日のサイトは、「364日」でした。

  ——そのまま行けば、7月28日のサイトには、

      「365日!——死刑が執行されなくなって満1年経過!」

    と大々的にアピールされ、その日は記念すべき日になる筈でした。

  ——しかしそれは、死刑存置を旨とする法務官僚にとっては、
    何としても避けたい事態であり、法相落選という彼等にとっては
    天佑を得て、間一髪その回避に成功、、、、、、というのが、
    「7月28日執行」の裏側と考えています。


(3)「執行立ち会い・刑場公開・勉強会立ち上げ」は、法相の最後の意地!

  ——不本意な決断と差し違える形でのそれら法相指示には、法務官僚
    も反対を貫くことは出来なかったようです。
    法務官僚には、「刑場公開」と「勉強会立ち上げ」の一日も早い
    実現を強く求めたいと思います。

  ——極く近い将来、裁判員裁判で死刑が求刑されることが想定される
    こともあり、法相の願い通り、これが契機となって死刑制度に
    関する国民的議論が本格的に盛り上がることを切望するものです。


さて私は、“「平成維新」第二幕にあたって ——「世論・マスコミ ファッショ」のこと、鳩山さんの使命などについて” に記しましたように、6月の菅首相誕生をもって、平成維新は第二幕に入ったと位置づけていますが、「ねじれ国会」もあって、第二幕は第一幕より圧倒的に難しくなったこと明白です。


この際政府・与党は、緊褌一番、政権交代の初心に立ち返り、また、不本意ながらも5月末の日米合意に舵を切った鳩山(前)首相、やはり不本意ながらも死刑執行に踏み切った千葉法相の苦渋の思いも忖度しながら、「維新」を確実に前進させて欲しいと願うものです。

普天間問題にせよ、死刑の問題にせよ、間違っても「第二幕は自民党政権時代と同じになってしまった!!」ということに決してならぬよう、天にも祈る気持ちです。


一方、私たち国民やマスコミは、徒に新政権のあら探しに明け暮れることなく、少なくともあと暫くの間は、新政権の不手際・試行錯誤を温かく見守る寛大さを身につけるべきと考えています。

                              (完)

2010年08月04日

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