Vol.85 千葉景子法務大臣に期待、 先ずは「終身刑」の創設を!             ・・・一死刑廃止論者より

[死刑制度関連]

先週発足した鳩山内閣の支持率は、のきなみ7割を上回っており、「政権交代」に寄せる国民の期待の大きさを伺わせます。

私も、『政治が変わる』予感に胸を躍らせる昨今ですが、死刑廃止論者としては、千葉法務大臣に期待するところも大です。


弁護士である新大臣は、「死刑廃止を推進する議員連盟(死刑廃止議連)」のメンバーであり、死刑制度に関し、かねてより踏み込んだ発言をされてきていますが、就任時の会見においても、質問に答え次のように述べられました。

『その意気や良し』との思いです。


      “死刑の問題は、人の命ということになりますので、
      私は慎重に取り扱っていきたいと思います。
      法務大臣という職責を踏まえながら、慎重に考えていきたいと
      思います。

      ただ、これだけ、死刑の存置あるいは廃止等について議論が
      あることでもございます。
      あるいはそれに代わる終身刑の導入はどうか、というような
      議論もございます。

      そういう意味では裁判員制度も導入され、多くの皆さんが死刑
      という問題にも大変深い関心と、そして色々な意味での思いを
      抱いていると思いますので、広い国民的な議論を踏まえて、
      これから私たちが行く道を是非見出していきたいと思っており
      ます。“


さて、民主党のマニフェストには、死刑制度に関する直接の記述はありませんが、「民主党政策集INDEX2009」の「法務」の項には次のように記されており、私はそれを高く評価しています。

もちろん、千葉大臣の上記発言も、党のその政策に沿うものと言えます。


     「終身刑」の検討を含む刑罰の見直し

      死刑存廃の国民的議論を行うとともに、終身刑を検討、
      仮釈放制度の客観化・透明化をはかります。

      死刑制度については、死刑存置国が先進国中では日本と米国
      のみであり、EUの加盟条件に死刑廃止があがっているなど
      の国際的な動向にも注視しながら、死刑の存廃問題だけで
      なく、当面の執行停止や死刑の告知、執行方法などをも
      含めて国会内外で幅広く議論を継続していきます。

      公訴時効のあり方については、法定刑に死刑が含まれる重罪
      事案のうち特に犯情悪質な事案について、検察官の請求に
      よって裁判所が公訴時効の中断を認める制度を検討します。“

民主党が上記方針であることに加え、連立を組む社民党は、従来から死刑制度の見直しを掲げてきており、また国民新党は亀井静香党首が「死刑廃止議連」の会長である等、この問題を巡っても「政治主導」で事を進める環境がようやく整ったと言えます。


もちろん、直近の内閣府世論調査では国民の約8割が死刑存置を希望するという状況下、短兵急に事を進めることは出来ません。

         (尚、上記世論調査結果は、Vol.17 “死刑を永久に
          存置しますか? 世界の潮流に逆らってーーー“
          に記載してあります)

しかし、死刑廃止が間違いなく世界の趨勢であるなか、政府がこれまでのようにこの問題をひたすら「世論任せ」にし放置しておく愚は、「政権交代」を機に直ちに改めるべきと考えます。

        (尚、日本政府が「世論」を口実に、これまでこの問題に
         主体的に取り組んでいないことに対し、国連の人権
         委員会
はしびれをきらし、昨年12月政府に対し
         次のように勧告をしています。

          Regardless of opinion polls, the State party should
          favourably consider abolishing the death penalty
          and inform the public, as necessary,
          about the desirability of abolition.

         詳しくは昨年12月18日付けのConcluding
         Observations CCPR/C/JPN/CO/5 E
page 4-5 
         をご参照下さい)
         

具体的には、先ずは死刑存置派・廃止派のいずれもが概ね賛成すると思われる「終身刑」の創設に向け、新政権が早急に行動を起こすことを強く要請したいと思います。

幸い、昨年5月に発足した「量刑制度を考える超党派の会(量刑議連)」が、議員立法ベースでの終身刑創設に向け、既に準備作業を終えていますので、政府がそれをそっくり受け継ぎ、改正法律案を一日も早く国会に上程することを切望致します。


連立与党の一枚岩でのバックアップの下、千葉法務大臣のリーダーシップに期待
するや切です。


        (尚、「終身刑」の創設に関しては、昨年11月、
         日本弁護士会(日弁連)がこれに反対する意見書を
         発表しましたが、私は日弁連のこの意見に強く異を
         唱えるものです。
         詳しくは、Vol.70 “日弁連の終身刑創設反対意見に
         異議あり! 《一仏教家の想い》“ 
をご覧下さい)

ところで、毎年10月10日は、「世界死刑廃止デー」と定められており世界各地でさまざまな取り組みが行われます。

日本でも、私も賛同人の一人である「フォーラム90」(死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90)の主催により『響かせあおう 死刑廃止の声2009』が東京で開かれます。

また、その前日の10月9日(金)には、日弁連主催により『死刑を考える日』が開催されます。

詳細はそれぞれ上記サイトをご覧頂きたいと思いますが、一般市民が裁判員裁判で「死刑判決」に直接関与することが現実となった今、私たちひとりひとりが上記企画などを通じ、改めて「死刑」について考え直してみるのも極めて有意義と考える次第です。
                             (完)

2009年09月25日

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