Vol.75 ソマリア沖への自衛隊派遣問題(その2)          ーー日弁連会長の反対声明全文          

[その他政治・社会分野]

1月28日付け Vol.72 “自衛隊法に基づく海自のソマリア沖派遣は脱法行為! ———派遣は新法成立まで待つべし” に記しましたように、私は、自衛隊法82条(「海上における警備行動」)を法的根拠として、海上自衛隊をはるかソマリア沖まで派遣するのは明らかに脱法行為であり、断じて許され無いと考えていますが、報道によれば、防衛大臣は来週、海上警備行動を発令し、護衛艦2隻が3月14日にも呉から出港する予定とのことです。

本件は、憲法違反の疑いが濃厚な重大事案ですが、メディアを含め世論の関心と 問題意識がなかなか高まらぬなか、日本弁護士連合会(日弁連)は昨3月4日、 『自衛隊のソマリア沖への派遣に反対する会長声明』を発表致しました。

やや遅きに失した感は否めませんが、ともあれ日弁連が単純明快に基本的な考え方を示されたことを評価したいと思います。
そして、それが引き金となって、事態が正しい方向に急展開することを切望するものです。

以下が会長声明の全文です。

      政府は、本年1月28日、ソマリア沖海賊対策のために
     自衛隊法82条に基づく海上警備行動として、海上自衛隊を
     ソマリア沖に派遣する方針を決定した。これを受けて、同日、
     浜田防衛大臣は派遣準備指示を出し、派遣に向けた準備が
     行われている。

     しかし、自衛隊の活動は、憲法9条の趣旨に沿って
     「自衛のため」の範囲内に止められるべきことが大原則
     である。しかるに、今回の海上警備行動は、領海の公共秩序
     を維持する目的の範囲(自衛隊法3条1項、同法82条)、
     すなわち「自衛のため」の範囲を遙かに超えてソマリア沖
     まで海上自衛隊を派遣するものであり、その点において
     憲法9条に抵触するおそれがある。

     また、海賊行為等は、本来警察権により対処されるべきもの
     であり、自衛隊による対処にはそもそも疑問がある上、
     海賊対策に協力する国家に武力行使を含む「必要なあらゆる
     措置を講じること」(国連安全保障理事会1851号決議)
     が認められる海域に自衛隊が派遣されれば、自衛隊が
     武力による威嚇、さらには武力行使に至る危険性があり、
     この点においても武力行使を禁止した憲法9条に反する
     こととなるおそれがある。

     ソマリア沖の海賊行為等は、深刻な国際問題であり、
     国連安保理決議がなされているなど、問題解決のために、
     国際協力が重要であることは明らかである。
     しかし、わが国が今、国際社会の中でソマリア沖海賊対策
     としてなすべきことは、日本国憲法が宣言する恒久平和主義
     の精神にのっとり、問題の根源的な解決に寄与すべく、
     関係国のニーズに配慮しながら人道・経済支援や沿岸諸国の
     警備力向上のための援助などの非軍事アプローチを行うこと
     である。

     よって、当連合会は、ソマリア沖に自衛隊を派遣する
     海上警備行動の発令に反対する。

                  2009年(平成21年)3月4日

                     日本弁護士連合会
                       会長 宮崎誠 


尚、全くの別件ですが、日弁連は昨年11月、「終身刑創設」に反対する長文の
意見書を発表しております。
しかし、その件に関しましては、Vol.70 “日弁連の終身刑創設反対意見に異議あり!《一仏教家の想い》” にやや詳しく記しましたように、私は日弁連とは意見を異にしております。 念のため付記させて頂きます。
                             (完)

                          

2009年03月05日

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