Vol.67 「七つの社会的大罪(Seven Social Sins)」                    ———マハトマ・ガンディーの警告

[その他政治・社会分野]

「インド独立の父」マハトマ・ガンディー(1869〜1948)は、今から
約80年前、このまま進めば資本主義社会には「七つの社会的大罪(Seven Social Sins)」が蔓延するであろうと強い警告を発しました。

彼がヒンドゥー教徒の凶弾に倒れてから今年で60年、今、冷静に先進各国を見渡した場合、彼の慧眼に改めて驚愕の念を禁じ得ません。

以下がその ”Seven Social Sins” です。  (邦訳及び順序は筆者による)

 
 1.Politics without principle    ——政治に哲学が無い罪

      先進各国ほぼ共通の現象と言えますが、特に我が国政界には
      昨今、志の高いリーダーが殆ど見当たらなくなったように
      感じています。

  2.Commerce without morality   ——経済にモラルが無い罪

      これも先進各国ほぼ共通の現象ですが、なかでも2007年の
      「今年の漢字」に、【偽】が選ばれるような我が国の現状は、
      際だって異常と言えます。

  3.Science without humanity    ——科学に人間性が無い罪

      科学のこれまでのところの最大の罪は、核兵器を作り出した
      ことと言えますが、放置すれば、より大きな罪が生まれる
      ような予感がしています。

   4. Worship without sacrifice    ——禁欲無く神だのみをする罪

       献身・禁欲を伴わないような信仰は、決して本物では無いと
       考えています。


上記の如く、「政治」も「経済」も「科学」も「宗教」も、【罪まみれ】ということですが、その辿り着く先には、更に次の三つの大罪が待ち受けているとガンディーは喝破しています。


    5. Wealth without work  ——汗水たらさず富を得んとする罪

       昨今の「サブプライムバブル」の崩壊は、この罪に対する
       天罰なのでありましょう。

    6. Knowledge without character  ——知識はあっても品性が
                       無い罪

      我が国では戦後、真っ当な宗教教育が行われて来なかった
      こともあって、品性・品格の無さは、個人も国も、今や
      先進国中ナンバーワンではないかと案じています。

      (この点、Vol.39 “『真っ当な宗教教育』を学校で” 
       も併せお読み頂ければと思います)

    7.  Pleasure without conscience  ——自制心無く欲望を追求
                       する罪

      飽くなき欲望の追求が、社会発展の原動力となって来たこと
      も事実ですが、Vol.66“「欲望」——このやっかいなるもの
      と、「新しいパラダイム」“
 に記しましたように、
      そんな社会には今、どす黒い【死の影】が射し込んでいます。

上記警告に加え、彼の【非暴力】を貫き通す、命をかけた次のような決意を知る時、鳥肌が立つような感動を覚えます。


    ・ 私には人に命を捧げる覚悟がある。
      しかし、人の命を奪う覚悟をさせる大義はどこにも無い。

    ・ 狂気じみた破壊が、全体主義の名のもとで行われるか、
      自由と民主主義の聖なる名のもとで行われるかということが、
      死にゆく人々や孤児や浮浪者に対して、一体何の違いをもたらす
      のであろうか。

     ・ 【目には目を】は、全世界を盲目にしているのだ。

     ・ 私は失望した時、歴史全体を通していつも【真理と愛】が
       勝利をもたらしたことを思い出す。
      暴君や殺戮者は、その時には無敵に見えるが、最終的には
       滅びてしまう。どんな時も、私はそれを思うのだ。

         (ウィキペディア マハトマ・ガンディーの頁より)

     さて、ガンディーが、「資本主義社会」に対し、上記「七つの大罪」を警告したのは、1925年10月22日付けの、彼が主宰する英字誌『Young India』誌上ですが、
Vol.20 “「覇道」か「王道」かーーー孫文からの問いかけ” に記しましたように、「中国革命の父」孫文(1866〜1925)は、そのほぼ1年前の1924年11月28日、神戸で『大アジア主義』と題する講演を行いました。


講演のなかで孫文は、【功利強権を主張する西方の覇道文化】と【仁義道徳を主張する東方の王道文化】の違いを切々と説き、我が国の進むべき道について鋭い問いを投げかけました。


3才違いのアジアの二人の巨星、ガンディーと孫文が、今から80年以上も前に、時を同じくして「資本主義」、「覇道文化」に対し強い警鐘を鳴らしていたにも拘わらず、我が国を筆頭に多くのアジアの国々は、こぞって西洋化の道を突き進みました。

その結果、アジア各国も、またその他の発展途上国も、物質的には確かに豊かに
なり、それなりに【自由】も手に入れました。

しかし一方で、「社会的大罪」は今や世界中にはびこり、「西洋近代文明」は
明らかに破滅に瀕しています。


人類は今、数百年に一度の大転換期に差し掛かっていることを、冷静に客観的に認識する必要があると思っています。


今こそ私たちは、アジアの二人の巨星の声に改めて謙虚に耳を傾けながら、「王道文化」の再興に向け、そして、「POST西洋文明」の創造に向け、インドや中国と手を携えながら、主体的に世界をリードすべきと考えています。

しかもそれは、二人と同時代の鈴木大拙(1870〜1966)が唱えた【日本的霊性】が、まだ辛うじて我が国に残っている今のうちに、急ぎ始めなければならないと思っています。

                              (完)

  

2008年11月02日

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