自民党と民主党(その5)ーー解散・総選挙を前にして(敬称略)

[佐藤尊徳]

麻生太郎の勘違いにはほとほとあきれ返る。
自分に人気があると思い込んでいる節がある。
それは自信ではなく過信である。
小沢一郎との比較で支持されているだけなのに、、、。

総裁選前の話である。
『麻生はすぐに解散する気はない。補正を組んで、しっかりと麻生カラーを出した後に解散をしたいと思っている』と麻生周辺が漏らしていた。

大新聞は周りの議員がリークした言葉を垂れ流し、人事も日替わりランチのように紙面を賑わす。事実関係を確かめもせずに間違った情報を載せ、次の日には違う人物が幹事長候補になっていたり読者を馬鹿にした話だ。

特に読売新聞は他紙よりも早く解散情報を載せたりしているが、ミスリード極まりない。
『麻生はあまのじゃくの所があるから、新聞辞令が出るとその通りにならないかもしれない』と漏らす議員もいる。
他候補の選対議員は『麻生周辺は総裁選の最中から勝ち戦だと思い、緩んで騒ぎ過ぎた』と憤慨した。

いずれにしろ、麻生周辺が騒いでいたのは間違いない。

『自民党は付和雷同だから』と経済界の人たちは言うが、まさにその通りである。
昨年は一気に麻生包囲網を作り上げ、本命と言われた麻生を退け福田康夫を総裁にしたにも拘らず、今度は国民の人気が高いからと麻生を担ぎ上げた節操のなさにはあきれ返る。

とはいえ、今回は派閥の領袖が締め上げても、派が割れて以前のように鉄の結束を誇るような派閥が無くなった。
『まるで求心力が無くなった。以前の自民党では考えられない』と永田町を長く観察してきた新聞記者が驚いた。
『自民党も崩壊寸前だな』と自嘲気味に自民党の議員がつぶやいた。

一方、民主党はかつての自民党のように、集権型の党になった。

小沢の締め付けが厳しく、形の上では一枚岩になっている。
特に若手議員はおびえて縮こまってしまって、活発な議論さえ出来ていない。選挙が近いにも拘らず、ベテラン議員でさえも公認を出してもらえずにいるのだ。それを楯に締め付けを更に強くしている。

野田佳彦が代表選に手を挙げたが、小沢周辺の締め付けが厳しく、最後は推薦人が3人しか集まらなかったという話だ。
最後の最後は松本剛明の説得に負け、最後までやる気だった野田は旗を降ろした。

また、小沢は党内の意見も聞かずに国民新党との合併を画策したり、相変わらずの独断専行だ。
民主党のある議員が嘆く。『郵政票欲しさに国民新党と一緒になったのでは、我が党が古い自民党のように思われてしまう』と。
これは最後にぽしゃったが、民主党のイメージを落としたことは間違いない。

一方『せっかくのチャンスをみすみす逃すようなことを(民主党は)自分たちでしているのだから、我が方はチャンスなのに』と自民党の若手議員たちは口にするものの、こちらも決め手にかけるのが現状だ。

さて今後の流れだが、解散時期は、公明党と麻生との駆け引きになりそうだ。

前述したとおり、首相は早期解散を望んでいない。
しかも、周りから言われて自分のカラーを出さずに解散をするのでは、操り人形のように思われる。

選対委員長の古賀誠が盛んに早期解散を提唱しているのも気に入らない。
当選回数が一緒で、平沼赳夫、高村正彦らと士志の会を結成しているが、古賀と麻生が相容れない関係であることは周知の事実。

解散権は首相の専権事項であるから、既成事実化されることも麻生にとってはあまり面白くない。それに、『補正予算を組まずに解散には疑問』と発言したこともあり、党利党略で総選挙の日程を11月2日にするかは微妙な情勢だ。

とはいえ、永田町は国会会期中にも拘らず、ほとんどの議員が地元に張り付いて、ポスター撮りから一気に解散モードに入っている。選挙資金の面でも、解散風は吹き出している。その流れはそう簡単には止められない。

さて、総選挙後の動きだが、こればかりは誰にも分からない。

中川秀直が、『【政権交代!】というフレーズに対抗するには、小池百合子しかいない。彼女でなければ総選挙に勝てないから、森先生に逆らってまで立てたのに、支持が広がらなかった』と嘆いたあとに『だから今回、自分自身は立たなかった』と意味深に漏らしたのは、総選挙後の政界再編を意識してのことだ。

それを伝え聞いた小泉チルドレンは、『小池さんは上の世代には受けがいいかもしれないが、下の世代には悪い。世渡りは上手かもしれないが。それに中川さんは、若手をたきつけておいて最後まで揺れていた。派を割って出るくらいの覚悟だったら若手も付いて行ったかもしれないが、逆に信頼を無くした。今更党を出て行っても誰もついていかない。それに小泉さんも、小池支持を表明するタイミングを間違っている。ボーリングばかりして、政局観が無くなってしまったのだろう』と辛口に言い放った。

とはいえ、やはり再編は必至の気がする。ただ、その核になるであろうと思われた小泉純一郎が政界を引退して、キーマンがいなくなったが。

総選挙で自民も民主も過半数を取れない場合が大いにありえる。

地方の創価学会は、政権交代にも備えて民主党に票を廻す約束をしている。もらう方も廻す方も、まったく節操がない。

また、小沢は過半数を取れない状況を見越して大連立の可能性を捨ててはおらず、水面下では動いているという情報もある。
国民新党との合併を画策する人物であるから、あながち嘘とも言い切れまい。

このように永田町の内部を覗いてみると、本当に国民のためを考えている人間がいるのか疑わしいものだ。

民主党があまりにだらしないことは認めるが、一つだけ言えることは、内閣支持率が多少上がったところで、2代続けて政権を放り出した政党のレッテル、茶番を続けた総裁選、後期高齢者制度などの失敗、景気の減速とあげればきりがない自民党への大逆風。

支持率が高いうちに解散総選挙などと言っているが、国民をなめるなと言いたい。
 
                 佐藤尊徳 (「経済界」編集長)

2008年10月02日

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