自民党と民主党(その4) ーー道路特定財源問題に関して

[佐藤尊徳]

【暫定】という言葉は、「一時的にする措置」という意味である。

道路特定財源は故・田中角栄氏を中心に議員立法として作られたものである。
1953年、日本の道路整備を目的に、揮発油税が目的税化になったのが始まりだ。
その後自動車重量税などが創設されたが、全て道路建設や整備のためだけに使われる目的税である。
更に、1974年には、財源不足に対応するために2年間の【暫定】措置として、石油ガス税を除く殆どの税目で、本則税率の約2倍の上乗せがなされた。

そういう過程を経て、道路建設によって潤う地元の建設業を中心に、自民党の強固な集票マシーンが出来上がり、この集票マシーンを潤わせ続けるために、以降は与党・自民党のごり押しで【暫定】を続けてきたという経緯がある。
そして、平成20年3月31日に、【暫定】の期限が切れる揮発油税の税率を、またもや10年間上乗せし続けようというのが与党の主張である。

しかも、【暫定】を無くして元の税率に戻れば、ガソリンの消費が増えて環境にもよろしくないと主張する与党議員まで出てきた。これまで道路建設で、環境破壊を続けてきた議員達が、何を今さらである。全くもってその理屈は当たらない。
ある若手自民党議員は「今、『環境、環境』と叫んでいるのは、道路推進を進めて、車社会を助長した人たちなんですけどね」と自嘲気味に話す。

そもそも34年間も【暫定】を続けてきたことが問題で、これを10年延ばそうというのだから話にならない。
まずは本則の税率に戻して、本当に必要な道路とは何で、財源がいくら必要かということをもう一度議論し直し、必要であれば本則を2倍にするべきなのだ。
小手先で【暫定】にしてきたつけが回ってきただけの話だ。

民主党では、租税特別措置法案を参議院でたなざらしにして、一度年度末で【暫定】を取ってしまい、ガソリン価格を1リットル約25円下げさせようと考えた。

そこで与党は、議員立法でつなぎ法案を提出。わずか2日で成立させ、3ヶ月の【暫定】継続を決め、その間にまた3分の2条項を使い、【暫定】税率維持をもくろんだ。

このつなぎ法案、伊吹自民党幹事長が強行しようとしたのだが、これを採決していれば自民党の終焉が始まったはずだ。
世論が許すはずもないのだが、それ以前に党内で造反議員が多数出るはずだったからである。
「つなぎ法案が出されたら棄権する」という自民党議員がたくさんいたのだ。

世論から見放され、党内からも反発を食えば支持率が40%を切っている福田自民党は持たない。更に、海外投資家から日本売りが加速するのは火を見るより明らかだ。どの国会議員に聞いてもその辺の危機感を持ち合わせていない。攻め手を無くし、迷走を続ける民主党もだらしないが、世間の空気が読めない自民党の執行部にも明日はない。

急転直下、何故つなぎ法案がギリギリのところで、議長斡旋で止まったのか。

確かな話ではないが、小沢一郎民主党党首と、福田首相にはホットラインがあって、まだ大連立の可能性をお互い探っているというのだ。
ここでガチンコの勝負をしては、大連立の夢が潰えてしまうから、つなぎ法案はお互いにとってメリットにならない。そこで、議長斡旋という形で、手打ちをしたのが真相だろう。いずれにしろ、国民の審判も受けずに手を結ぼうなどというこの二人に任せていては、日本の将来はない。

民主党も自民党も執行部と若手の間には、かなりの齟齬があることからみても、総選挙後には政界再編を含めた動きがあるはずだ。実際に再編に向けて動いている人達もいる。

さて、その総選挙の時期であるが、菅選対副委員長は非公式に今年の10月と宣言している。これは公明党の都合なのだが、それまで福田内閣が持つとは思えない。
いつにしようが自民党が惨敗することは明らかだ。民主党があまりにもだらしのない党だと国民にわからなければの場合だが。

                佐藤尊徳 (「経済界」編集長)

2008年02月08日

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