Vol.51 本日の死刑執行に対する「アムネスティーインターナショナル日本」の声明全文

[死刑制度関連]

世界最大の人権団体である「アムネスティーインターナショナル」の日本支部は、本日3名の死刑囚が刑の執行をされたことを受け、下記の抗議声明を発表致しました。

声明は、単に本日の執行に抗議するにとどまらず、先月の国連総会委員会における決議案採択のこと(このコラムVol.50 ご参照)、死刑制度についての我が国の直近の動き、などにも言及する網羅的な内容となっております。

そこで、ご参考までに、その全文を以下に転載させて頂きます。

鳩山法相就任以降、法相の率直な発言に触発され、死刑制度についての関心が急速に高まってきているように感じています。自民党の加藤紘一さんが、死刑廃止議員連盟に入会されたことも一つの大きな動きです。

年内に予定されている国連総会決議を直接の契機に、いよいよ明年には、我が国も死刑廃止に向け大きな第一歩を踏み出すことを、師走にあたり神仏に祈るや切です。


抗 議 声 明

死刑の執行に抗議します。


今回の死刑の執行についても、本人や家族を含め誰にも事前の予告はなく、突然に行われました。

今回は執行後に執行された死刑囚の氏名が公表され、加えて先月は国会の法務委員会が刑場視察を許可され、私どもの死刑廃止活動について法務大臣が直接に話を聞く機会が設けられるなど、死刑制度をめぐる秘密主義に風穴をあける動きがあることは評価します。

しかし一方で、今年は執行数が3回に増加し、昨年を上回る9人の死刑がこの1年間に執行されたことに強く抗議します。

世界の死刑廃止の潮流は、政治制度や宗教、文化の差異を超えて広がっています。

そのような中で日本がこの流れに逆行し続けていることに、アムネスティ・インターナショナルは懸念を表します。

2006年に死刑を実際に執行した国は、日本を含むわずか25カ国であり、G8諸国で死刑を存置している国は日本と米国のみとなりました。その米国でも死刑廃止の議論が活発化し、執行数、死刑判決数は年々減少しています。

国際連合では11月15日、世界規模で死刑の執行停止を求める決議が国連第3部会で採択されました。

この決議は、㈰死刑廃止を念頭に置いて、執行を停止する、㈪死刑に直面する者の権利の保護を確保する保障規定をさだめる国際基準を遵守し、㈫死刑の適用を厳しく制限し、死刑相当犯罪の数を削減するよう各国に求めています。

アムネスティはこの決議採択を歴史的な快挙とみなし、歓迎しています。同決議案は今月中旬に総会に提出され、採択される見通しです。


国連拷問禁止委員会は、2007年5月に拷問等禁止条約の実施状況に関する第一回日本政府報告書に対して最終見解を発表しました。

委員会は死刑確定者の処遇状況に関し、日本の死刑制度に関する多くの条項が「拷問あるいは虐待に相当しうる」とし、改善に向けてあらゆる手段をとるよう勧告しました。

また、死刑確定者の法的保障措置が制約されている点についても深刻な懸念を表明し、死刑の執行をすみやかに停止し、死刑を減刑するための措置を考慮し、恩赦を含む手続きを改善し、すべての死刑事件の上訴権を必須とし、死刑執行が遅延した場合は死刑を減刑することを確実に法律で規定すべきと勧告しました。

世界中が日本の死刑制度の行方を見守っています。

国連をはじめとする死刑執行停止に向けた国際的な圧力は、今後大きくなることが予想されます。

死刑制度という究極の人権侵害を廃止する一歩を、日本が近い将来に踏み出すことをアムネスティは期待しています。

2007年12月7日      
社団法人アムネスティ・インターナショナル日本

                            (完)

2007年12月07日

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