Vol.47 この世の「四諦」
「四諦」(したい)は、初期仏教の教義の一つです。
「四つの諦」という意味ですが、この「諦」は、サンスクリット語の『サティア』の訳語で、『真理』です。
従って、「四諦」は、「四つの真理」であり、それらを身につけ実践すれば、心の平安が得られ、やがては解脱の境地(涅槃)に到るというのが、お釈迦様の教えです。
四つの「諦」は、『苦諦(くたい)』『集諦(じったい)』『滅諦(めったい)』『道諦(どうたい)』、—略して『苦集滅道(くじゅうめつどう)』—ですが、それぞれの中身は次の通りです。
「苦諦」——「この世は苦しみに満ちあふれている」という真理。
(この世の苦しみー「四苦八苦」—に関しましては、代表者
コラムVol.6 “この世は修行” もご参照頂きたいと
思います)
「集諦」——《しかし》「苦しみは、外からもたらされるものでは
無く、自分自身の煩悩(欲望と執着)が集まった結果
である」という真理。
「滅諦」——《従って》「煩悩を滅すれば、苦しみは無くなる」
という真理。
「道諦」——《具体的に》「煩悩を滅し、心の平安を得るには、
『八正道(はっしょうどう)』を実践すれば良い」
という真理。
『八正道』とは、“八つの正しい道・方法”という意味ですが、それは、
正見・正思・正語・正業・正命・正精進・正念・正定
の八つです。
“正しく” 『見る、判断する』・『思う、考える』・『話す(嘘をつかない)』・『行動する』・『生活をする』・『努力をする』・『念じる』・『精神を統一する、禅定する』の八つです。
『八正道』は、正に聖人君子の振る舞いで(『八聖道』とも書きます)、凡夫には至難の課題です。
しかし、「一つずつ、少しずつ」と思って日々謙虚に努力を重ねれば、煩悩も次第に小さくなり、苦しみも軽くなり、心も穏やかになって、ニルヴァーナ(解脱・涅槃)に近づくものと信じています。 (完)
2007年10月19日
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