自民党と民主党(その3)ーー参院選を一週間後に控えて(敬称略)

[佐藤尊徳]

「参議院で47議席を割ったら安倍内閣は退陣だ!!」
国会の会期延長を官邸が決めると、青木幹雄はそういって激怒した。

今回は、小泉ブームに乗って大幅に議席を伸ばした6年前の参議院組の改選だ。自公合わせて64議席を取らなければ過半数にならない。公明党が現有議席の13を確保したとしても、51議席を自民党で確保しなければならない。

では、青木の言う「47議席」とは何か。それは国民新党が4〜5議席を確保して、彼らを取り込めば過半数になると計算しているからだ。もっとも現時点では、荒井広幸などの無所属議員をも引き込めると考え、ラインはかなり下げているようだ。しかしこれには無理がある。

荒井広幸は、それこそ郵政の申し子。郵政民営化に賛成するのであれば、選挙民に説明がつかない。
国民新党に関しても同様だ。自民党は郵政民営化反対議員に、誓約書を書かせて党に戻した経緯がある。参議院の数が少なくなったからと言って、郵政問題をうやむやにして数合わせをするようでは、それこそ国民を愚弄している。もしそうなったら、この国の未来はないと言えよう。

また、公明党が13議席を確保するのも至難の状況だ。私は今回の選挙の関心度から言っても、投票率が少し上がるとみている。どんなに頑張っても、公明党は900万票に届かないだろうから、11〜12議席程度ではないか。希望的観測を言わせてもらえば、選挙区で取りこぼせば、10議席というのも十分に有り得る。

過去2回の参院選前の会期延長は、9年前の橋本内閣時と、18年前の宇野宗佑内閣時で、ともに選挙に大敗を喫し首相の退陣につながっている。

「公務員法改正案を成立させたところで、年金問題の逆風は変わらない。むしろ、選挙を1週間延ばして逃げたという印象しか残らない」とベテラン議員は吐き捨てた。

また他の重要法案である、社会保険庁改革法案や、年金支給漏れの時効を撤廃する特例法案を成立させたところで、強行採決の誹りは逃れられない。イギリスが駐留撤退を決めている中で、イラク特借法案の延長も無理矢理に通してしまった。結局会期を5日間残して強行採決してしまったのだから、なんで会期延長をしたのか理解に苦しむ。初めから強行採決をすればよかったのではないか。

そこで自民党内では早くも、参院選後の政局に話がいっている。官邸内では、どんなに惨敗しようと、安倍は辞める気はないとみているようだが、党内のパワーバランスは崩れ、レイムダックになるのは目に見えている。もともと安倍を総裁にしたのは、「選挙に勝てる」からだ。選挙に負けた首相を、自民党が担ぎ続けるはずがない。

安倍内閣が総辞職になれば、次の総理は誰かということになる。総裁選を安倍総理と争った麻生外務大臣と、谷垣禎一のうち、麻生が有力と言われているが、これも一筋縄ではいきそうもない。
危機管理内閣なので、森元総理は福田内閣を望んでいる。ただ、そうなると4代続けて清和会出身者が首相ということになるし、その内閣のせいで選挙に負けたとなれば、党内で反発が出るのは間違いない。また、自民党内には森が総理になる過程で、「5人組」が密室で決めたと世論に袋叩きにあったトラウマがあり、正式な手順を踏まずに総理を誕生させることに抵抗もある。

ここで急浮上してくるのが、安倍総理がやけくその解散総選挙を仕掛けることだ。野党第1党の民主党は衆議院解散を想定しておらず、小選挙区の候補者もほとんど確定していない状況だ。
ここに付け込もうというのだが、自民党も選挙区事情は似たりよったり。しかも、現有議席を割ることは必至で、公明党の猛反発も予想される。それでも一か八かの勝負に出るのかは、獲得議席数と世論の状況次第と言えそうだ。

一つだけ言える事は、自民党も民主党も党利党略が透けて見えて、民意を置き去りにしているということだ。ここはじっくりとマニフェストを訴えて、国民が選択を出来るような選挙にするべきである。

国民の側もよく吟味をして、どこの政策がわが国にとってプラスになるのかを考え、流されない投票行動をするべきだろう。その前に、先ずは自分達の権利である投票に絶対に行くべきである。
                       佐藤尊徳(「経済界」編集長)

2007年07月20日

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