自民党と民主党(その2)

[佐藤尊徳]

亥年は12年に一度、統一地方選と参議院選挙が同時に行われる。だから波乱が多い。

なぜかと言うと、地方の組織が、自分達の選挙で全力を出した後に、中央の選挙があるからである。
自分達の選挙で、全力を出した後に、中央のためにもう一度フル回転するというのはなかなか難しい。地方の組織は政権与党である自民党が圧倒的に強いから、その組織が動かなければ、野党に追い風が吹くことになる。

宮崎県知事選で、そのまんま東氏が圧勝した。保守分裂が影響したとか、敗因を既存政党は探っているが、このように投票率が上がれば、組織票などひとたまりもない。

以前、選挙で圧勝したあとに、ある大物自民党議員に「あとは公明党との連立解消が次の目標ですね」と畳み掛けると、「それぞれの選挙区で2〜3万票もらってしまっているからなぁ。それ(連立解消)は大変だよ」と言っていた。確かにもらっている票もあるだろうが、失う票の方が多いということに気付かないのだろうか。
それは、今回のように保守地盤が強い宮崎でさえ、組織票を持つ候補は、それ以外の票が入らないということで証明済だ。

さて、現在開催の予算委員会は、スキャンダル国会になると予想していたが、のっけから柳沢厚生労働大臣の「女性は産む機械」発言が出るとは想定外だった。

久間防衛大臣の米国批判とも取られかねない発言や、松岡農水大臣の金銭スキャンダルなど、安倍首相は、綱渡りの国会運営が続く。今年は参議院選挙があるために、会期延長は常識で考えると有り得ない。ただでさえきつい国会運営なのに、こんな閣僚達ばかりでは益々、重要法案が継続審議や廃案になる可能性が大である。

先の臨時国会で、教育基本法の改正案が通って、それを評価する人たちもいるにはいるが、同法案はもともとイデオロギー的なものであって、具体的な教育改革を実行するものではない。
安倍内閣の内政での評価は、今後出てくる重要法案を通して、いかにリーダーシップを取るかに掛かっている。

教育関連3法案の具体的中身は詰まっていないし、教育再生会議もそれぞれの意見がばらばらで、まとまりきれていない。
また、重要法案の目玉の一つは、社保庁改革案だが、その中身はあまりなく、外部組織を設置するというだけの法案になりそうだ。族議員の抵抗を抑えられなければ、厚生年金と共済年金の一元化は遠い未来の話になるだろう。
それから、米軍再編関連法案は、日本の負担だけが決まっていて、どれだけの費用が掛かるかなどは、なんら示されていない。これでは、野党だけでなく、国民が許さないであろう。
他にも、最大の目玉の公務員改革関連法案も、今後のタイムテーブルが示されているわけではなく、このきつい日程の中で成立させることは荒業だ。

とにかく、これらの法案を通していくには、力業が必要で、安倍首相のリーダーシップに期待が掛かる。
いかに中身のない法案でも、通さなければ実績を語れないし、国民の支持も失う。しかし、何度も繰り返すが、相次ぐ閣僚の不祥事、金銭スキャンダル、不用意な発言で下降気味の支持率では、与党内を押さえるのも容易でなくなってくる。

今は、だらしのない民主党に助けられているが、地方選挙で負けが込んでくると、安倍内閣は持たない。選挙前には普通は有り得ないのだが、予算成立後に大胆な内閣改造をして、実力者を配置するのが得策という声もちらほらと聞こえる。

いずれにしろ、自民党も財界の提言ばかり聞き入れていては、国民全体に支持される政党にはなりえないし、自治労を票田にしているようでは、民主党にも明日はない。
どちらが先に、世の中の流れをわかって変わっていけるのか。結果が出るのはすぐ先だ。(完)

                    佐藤尊徳(「経済界」編集長)

2007年02月01日

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