Vol.35 この世は「虚仮(こけ)」

[「この世」シリーズ]

虚仮(こけ)とは、「うそいつわり。仏教で心の中は正しくないのに外見のみをとりつくろうこと」であり(大辞林)、また大辞泉には「仏語。真実でないこと。外見と内心とが一致しないこと」とあります。


聖徳太子(622年没)は晩年次の言葉を好まれ、それが太子の遺言とされています。


    ”世間虚仮 唯仏是真” (せけんこけ ゆいぶつぜしん)


「この世はすべてうそいつわりの世界、仏の世界こそが唯一の真実」という意味ですが、宗派横断的仏教信者の集いである南無の会松原泰道会長はこの言葉を次のように解説されています(「生きるための杖ことば」より)

  『私たちの住む世間という場は、つねに移り変わり(無常)、
   崩れゆく存在である。
   また煩悩心を持つ人間の住むところだから、嘘いつわりに
   満ちている。
   しかし、この世間にあっても仏法だけがつねに真実である』

そして更に、

  『この言葉は、世間に対する「絶望と希望」「失望と賛嘆」の
   うめきの声』であり、

  『「世間虚仮」の事実を凝視する悲しみ』が『他者をいとおしまずには
   おれぬ慈悲におのずから転ずる。それは仏がつねに存在する真実が、
   そうさせるのだ』

と結ばれています。

何とも奥深い解釈で、まさにそれが聖徳太子の遺言の真意に違いないと考えています。


どう見てもこの世には「虚仮」が横行跋扈していますが、それに対し過度に目くじらを立てること無く、自分の魂の修行のためにはそれも必要と謙虚に受け止め、「虚仮のこの世」に感謝すべきなのでありましょう。

所詮「この世は修行」ですから。 (完)

   

2006年12月28日

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