Vol.33 イラクの現状に思う

[中東関連]

私は、代表者コラム・カテゴリー「中東関連」Vol.13【祈れば通ず】で記しましたように、1990年1月から1992年末までの丸3年間、三井物産のサウジアラビア支店長としてリャドに駐在しました。


それまでの会社生活でサウジを含む中東とはいろいろな係わりがあり、サウジにも何回も出張していましたので、何となくアラブもイスラムも解ったような気がしていましたが、やはりそこに住んでみて初めてその本質に触れたような気がしています。


サウジにようやく馴れて来た頃、忘れもしません90年8月2日、サッダーム・フセインが突如クーウエイトに侵攻しました(日本ではフセインのことを「サダム・フセイン」と呼びますが現地では“ダ”に強いアクセントを置いて「サッダーム・フセイン」と呼んでいます)。

「湾岸危機」の始まりです。


「危機」は結局翌年1月の「湾岸戦争」となり、10万人を超すイラク人が命を落としました。


「湾岸戦争」から12年後の2003年春、ブッシュ大統領はパパブッシュがなし得なかったことを求め強引にバグダッドに侵攻しました。

爾来もうすぐ4年、イラクは今どうしようもない位の大混乱に陥っています。
かってのレバノン同様の完全に内戦状態ですが、レバノンと違ってイラクには石油があるだけに内戦終結はレバノンより何倍も難しいと思っています。


いったいアメリカは今後どうするつもりなのか? 出口が全く見えず考えれば考えるほど暗澹たる気持ちになります。

ブッシュ大統領は何故このような無謀な戦争を始めてしまったのか?

 
本当に愚かとしか言いようがありませんが、ドイツ・フランスなどが開戦に強く反対するなか、時の小泉首相が他国に先がけて開戦を支持したこともまたいかにも短絡的であったと断ぜざるを得ません。


先の中間選挙でアメリカ国民はこの戦争に対し、そしてブッシュに対し明確に NOを突きつけました。


一方わが国民は「熱しやすく冷めやすい」せいかも知れませんが、小泉首相の開戦支持決断をすっかり忘れてしまっています。
しかしながらやはりここはアメリカ国民同様、小泉首相の決断を冷静に徹底的に検証し、それは正しかったのか、間違っていたのか? の答えを出す必要があると考えます。
それをすることにより将来再び同じ間違いを繰り返すことが少なくなると考えるからです。


16世紀オランダの人文学者エラスムスは、「戦争」について次のように述べています。


     およそいかなる平和も、たとえそれがどんなに正しくないもので
     あろうとも、最も正しいとされる戦争よりは良いものなのです

     戦いは戦いを生み、復讐は復讐を呼ぶ
     好意は好意を生み、善行は善行を招く

私は「正義の戦争」というものは世の中に存在しないと確信しています。


この場合の「正義」は、戦争を正当化するための単なる詭弁・屁理屈と言っても過言では無いと考えています。

地上から戦争が無くなる日を祈願するものですが、結局のところそれは我々の叡智次第であると考えています。
                       (完)


2006年11月16日

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