Vol.21 「この世」と「あの世」-魂のこと、輪廻転生のこと

[「この世」シリーズ]

「魂」という言葉は科学の世界には存在しません。いわんや「輪廻転生」なぞという考えは『科学的根拠の全く無い迷信』と切って捨てられています。

が、しかし、そうなったのは、たかだかこの3~400年です。それ以前の長い間、人はみな、洋の東西を問わず「魂」の存在を信じ「輪廻転生」という考え方も概ね受け入れていました。

それが決定的に変わってしまったのは【近代合理主義】以降です。


この点に関しましては、私のコラム”「近代合理主義」の功と罪"で少し詳しく記させて頂きましたのでご参照賜りたいと思いますが、近年世界中で、【近代合理主義】の綻びが目立ち始めたのと機を一にして、「魂」についての関心があらためて高まりつつあるように感じています。


「魂」について、現文化庁長官、心理学者の河合隼雄先生は次のように言われています。

     『たましいとは、人間が死んだ時、あの世に持ってゆける
      ものである。
      人間はこの世で実に多くのことをなし、多くのものを獲得
      するが、それはすべて死んだ時、この世に置いてゆかねば
      ならない。
      死者としてあの世に行き、あなたは何をもってきたかと
      聞かれた時、そこに示せるものがたましいである』

             (『日本人とアイデンティティー』より)


また、デカルトの心身二元論を念頭に、次のようにも述べておられます。


     『人間存在というのを0から1までの線分にたとえてみますと、
      パッと切って、こっちが精神で、こっちが肉体であると
      分けられると思った途端に、なくなるやつが魂なのです』

               (『いま「いのち」を考える』より
                 梅原猛・河合隼雄・松井孝典共著)

また、河合先生の後任の(前)国際日本文化研究センター所長、宗教学者の山折哲雄先生は、次のように述べておられます。

    
     『素粒子というものは科学的には証明できるかもしれない。
      けれども私はどうしても実感としてそういうものの存在を
      感じられない。
      魂というものは、これは科学的にはまったく証明できない
      かもしれない。
      しかし実感として強く感じることができる』

尊敬してやまない両大先生のこういった認識に、私は深い共感を覚えます。やはり「魂」は存在すると考える方が自然だと思います。

肉体は死にます。しかし「魂」は不滅です。


肉体が死んだ後「魂」は肉体から脱け出て、いわゆる「あの世」に行きます。もちろん「魂」はあの世でも形はありません。

もともと「あの世」には「この世」で言うところの『時間』も『空間』も無く、私たちが寝ている間に見る【夢】のようなものだと私は想像しています。


そういう「あの世」で「魂」は、【魂類(魂の仲間・グループ)】と一体となって存在しているように思えます。

そして、何年、何十年、あるいは何百年の後、新たなる【使命(ミッション)】を帯びて再び「この世」の肉体に宿り、与えられた【使命】と【修行】を終えると、また「あの世」に戻る、、、、、、、、、、そういう考え方が「輪廻転生」です。

この【使命】ということに関し、齢五十一で得度をされた瀬戸内寂聴さんは、『仏教を歩く』の巻頭法話(第30)で、次のように記しておられます。

     『人間は自分が勝手にこの世に生まれてきたわけではなく、
      何か巨いなるもの、宇宙の生命を司るものから、この世に
      選ばれて送り出されていると思います。
      何のために。
      それは自分以外の他の何かの役にたつようにという使命を
      担っているのではないでしょうか』。

「魂」の存在を信じ「輪廻転生」(仏教では「六道輪廻」とも呼びます―――六道とは、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天の六つですーーー)を受け入れれ ばこそ、今世(この世)に対しこのような厳粛な想いに到達出来ると感じています。


かってガリレオ・ガリレイ(1564~1642)は、当時異端であったコペルニクスの地動説を捨てるよう宗教裁判所から命令された直後、『それでも 地球は動いている』とつぶやきました。


私も、ガリレオにならい、いかに『非科学的』『迷信』と断ぜられようとも【それでも魂は存在する。魂は輪廻転生する】とつぶやき続けようと思っていま す。


結局のところは【信じるか信じないか】ですが、私は【信じるところに心の平安が生まれる】と確信しています。
                             (完)

2005年09月02日

≪ Vol.20 『覇道』か『王道』か ーーー孫文からの問いかけ | TOP PAGE | Vol.22 「死後生殖」に法の網を!!~ 「生殖補助医療」に関する早期法整備を望む ≫