Vol.17 死刑を永久に存置しますか? 世界の潮流に逆らって・・・

[死刑制度関連]

昨年12月に実施された「基本的法制度に関する世論調査」の結果が去る2月に公表されました。

この調査は、内閣府が、死刑制度及び犯罪の処罰に関する国民の意識を調査し、刑事司法に関する施策等を検討するための参考資料を得るべく、5年毎に実施しているものです。

今回の調査で特筆すべきは【場合によっては死刑もやむを得ない】とする死刑『存置派』が、前回よりも更に増加し、ついに8割を上回ったことです(81.4%)


『存置派』の推移を15年前(平成元年調査)、10年前(6年調査)、5年前(11年調査)、今回(16年調査)の順に並べてみますと、

       66.5%→73.8%→79.3%→81.4%

となり、『存置派』は着実に増加してきています。


逆に【どんな場合でも死刑は廃止すべき】という『廃止派』は、今回6.0%にとどまりました。 (残りは【わからない・一概に言えない】)
『廃止派』の推移は(同じ順序で)、

       15.7%→13.6%→ 8.8%→ 6.0% 

であり、今回は15年前の4割以下になってしまいました。


さかのぼって、今から30年前の昭和50年の調査では、『存置派』56.9% vs『廃止派』20.7%であり、今回の81.4% vs 6.0%と較べる時、この30年間で国民意識が大きく変化してきていることに改めて驚かされます。


『存置派』のうち、【将来も廃止しない】とするのは、10年前53.2%、5年前56.5%、今回61.7%と、やはり着実に増加してきています。

この結果、【将来も廃止しないー永久に存置すべき】という意見の持ち主が、今回50.2%(81.4%x61.7%)と、初めて国民の過半を超えたことになります。


これに対し『存置派』のうち、【状況が変われば将来的には廃止してもよい】とするのは、10年前39.6%、5年前37.8%、今回31.8%と漸減してきています。

6.0%の『廃止派』と、『存置派』のうちの『将来は廃止派』の合計は、今回全体の三分の一以下(31.9%)となりました。


上記から明らかなように、わが国の国民意識は【死刑存置】しかも【永久に存置】という方向にまっしぐらに進んできていますが、これは以下に述べる世界の潮流とは全く逆の流れです(出所は主としてアムネスティ・インターナショナル


●世界196カ国中、死刑廃止国 118カ国、存置国 78カ国
●先進国のなかで存置しているのは、わが国とアメリカ50州のうちの38州のみ
 (アメリカの残る12州は廃止)
●1990年以降これ迄に35を超える国と地域が廃止
●過去10年では毎年平均3カ国を超える国が廃止
●逆に、1985年以降これまでに死刑を再導入した国は4カ国のみ
 但し、うちネパールはその後再廃止
 フィリピンは執行をいったん再開後中断中
 ガンビアとパプアニューギニアでは執行ゼロ
●国連は1989年の総会で『死刑廃止条約』を採択
 この時わが国はアメリカと共にこの条約の採択に反対
●EU(ヨーロッパ連合)は死刑廃止を加盟の条件としており、
 このため加盟を希望しているトルコ(イスラム国家)も2004年廃止


世界は明らかに【死刑廃止】に向けて着々と動きを進めています。

わが国の国民意識は、世界の動きと逆行していること明白で、ことこの点に関する限り、わが国は後進国に逆戻りしつつあると言っても過言ではありません。

本当にこのままで良いのでしょうか?

今一度国を挙げて真剣にこの問題を考えて見るべきではないでしょうか?


死刑に関する私の意見は、「代表者コラムvol.5」《死刑を廃止し、終身刑の新設を》に少し詳しく記させて頂きましたので、ここでは繰り返しませんが、私はわが国でも一日も早く死刑を廃止すべきと考えています。

人を殺すということは本当に非道で残酷です。
尊い命、かけがえのない命、殺されたらもう決して元には戻りません。
非道で残酷な殺人犯は絶対に許すことが出来ません。


しかし、その残酷な殺人犯を殺すこともまた野蛮で残酷ではないでしょうか?

国家であれば人を殺しても本当に良いのでしょうか?

許すことが絶対出来ない殺人犯ですが、殺すことだけは止めて、一生かかって罪を償わせるということではどうしても駄目でしょうか?


私は、『人の命は尊い。人を殺すことはいついかなる場合でも絶対に許されない。たとえ国家であっても許されない』という考えを徹底的におし広めて行くことこそが、殺人事件を少なくする最も有効な方法ではないかと考えています。

そして、ひいてはそれが、国家による殺人行為のもう一つの形態である戦争を、この世から追放することにも繋がって行くものと考えています。


殺人も、死刑も、戦争も、【人を殺す】という点では同じです。

天から授けられた文字通り神聖な「命」、それを奪うことは天を冒涜する絶対悪です。

この世からこの三つの悪が無くなることをひたすら祈るものです。 (完)

2005年03月17日

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