Vol.1 この世に偶然なし
「偶然エレベーターのなかで会いました」、「いやー、偶然の一致ですねー」などとよく耳にします。
が、実は「偶然」というものは、世の中にありません。
なぜそうなったのか? なぜ起こったのか? ということが、自分たちが今持っている法則では説明がつかないことを、単に「偶然」として処理しているだけの話しです。
考えようによってはなんとも傲慢なふるまいです。
『袖振り合うも他生の縁』という諺があります。
通りすがりに袖が触れ合うのも前世からのご縁によるものですよ、という意味ですが、昨今あまり聞かなくなりました。
今流に言えば『袖触れ合うは単なる偶然』なのでしょうが、真実は昔からの言葉のなかに在ると考えています。
自分は今偶然生きているのか? あるいは、ある定めのもとで、生かされて生きているのか?
人間「他生の縁の世界」に入りますと、「目に見えないもの」を畏れるようになり、ひたすら謙虚にならざるをえません。
(完)